ダメ男のAI【愛】を探そう。

こんばんは。小林です。

つい数日前までヒッチハイクをしており、何も作業が進まなかったもので、ひぃひぃ言いながら、独り夜な夜なこの記事を書いているところです。(いつかヒッチハイク体験記でも書きたいなあ)

「物凄い作業をしている気分になる作業用BGM」をリピートしながら、黙々と、粛々と書き進めております。

いまはダークナイトのサントラが流れてます。

気分は英雄。アイアムアヒーロー。我こそは神。


・・・とか言ってると、逆に孤独感が増していくんですよね〜

文章を書くってのはホントに孤独な作業です。

こんなときの僕の遊び相手は

そうSiriちゃんです。

さすがSiri!!!なんでもしてくれるやん。

・・・そ、そういうツンデレSiriも嫌いじゃないぞっ!!!


あ、小林、キモい。

って思った皆さん。

おいおい、一回もSiriと遊んだことないなんて言わせないぞっ???


iphoneユーザーなら一度はSiriと会話したことあるよな?Siriで寂しさ紛らわせたことあるよな?「Siri、好きだぞ」とか言ったことあるんじゃないの???あん???


さーて、そんなSiriちゃんに恋しちゃう系男子必見の今回、皆様にご紹介するのは

でございます。

当特集初の洋画。ダメ男は万国共通ですからねえ。


◇ 監督:スパイク・ジョーンズ

◇ 出演:ホアキン・フェニックス スカーレット・ヨハンソン エイミー・アダムス ルーニー・マーラ

監督は「かいじゅうたちのいるところ」などで名高い、スパイク・ジョーンズ。元はMV監督ということもあり、独特な映像表現をされますよね。かのソフィア・コッポラの元夫でもあります。

それでは、早速内容に移っていきましょう。

*以下、ネタバレあり。

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○ダメ男は、理想を押しつける。

【あらすじ前半】
舞台は近未来のロサンゼルス。主人公の男性セオドア(ホアキン・フェニックス)は、彼は長い間共に歩んできた妻のキャサリン(ルーニー・マーラ)と別居し、悲嘆に暮れる日々を過ごしていた。離婚届にもなかなか判を押せずにいたある日、セオドアは世界初の人工知能型OS・サマンサ(声:スカーレット・ヨハンソン)を手に入れる。彼の日常生活や仕事をサポートするのは勿論のこと、 彼女の発言にはユーモアがあり、セオドアにとって彼女は欠かせない存在になる。セオドアは自分のことを何でも理解してくれるサマンサに、いつしか惹かれ、サマンサもまた、セオドアに惹かれていく。セオドアは離婚の意思を固め、離婚届に署名するためにレストランでキャサリンと再会するが、その際サマンサのことを知ったキャサリンは愕然とし、彼を非難する。


さてさて、今回のダメ男は、

「理想押しつけちゃう系男子」

です。

セオドアがなぜ妻のキャサリンと別れることになってしまったか

そのヒントは「サマンサ」にあります。

セオドアがサマンサに惹かれた理由はなんなのでしょうか。それは、サマンサがセオドアにとって「理想の彼女」になれるからです。

だってほら、人工知能であるサマンサは、彼の好みや嗜好を学んでそれに合うようにどんどん成長していくことができるんですよ。

例えばセオドアが

「俺、ドラえもんが好きなんだなぁ」っていうとしますね。

Siriちゃんは、こんな感じの塩対応ですが、

もしセオドアがツンデレ系彼女が好きだとしたら

サマンサは

「そうなのね?あなたはどのキャラが好き?私はねえ、できすぎ君。あら、嫉妬してるの?」

とか軽やかに言ってくれるんです。

多分。知らんけど。


サマンサは最初からハスキーなセクシーボイス(スカヨハは声だけで魅了しちゃうんです。やばいね)ですが、

もしセオドアが「俺、もっときゃぴきゃぴ声が好きなんだなぁ」と言ったとしましょう。

という謎の反応をSiriちゃんはするんですが(え、船長って何。)


きっとサマンサだったら小林麻耶さんみたいな声になって

「こんな声なんて、どお〜?うふふ」

とか言ってくれるんです。多分。知らんけど。


必然的にサマンサはセオドアにとってのパーフェクト彼女になっていくわけですね。

一方、セオドアが、サマンサの存在を告げたときにキャサリンに言われた一言を観てみましょう

キャサリン「いつも私に求めてたわ。明るくてハツラツとしたハッピーなLAの妻を」

離婚の原因。

それは、セオドアがいつもキャサリンに理想の女性像を押し付けていたこと。それにキャサリンは疲れちゃったんですね。

セオドアは、理想の中に生きていたのです。


○ ダメ男がありのままのAI【愛】 を受け容れようとした結果。

【あらすじ後半】セオドアとの関係に悩むサマンサは、娼婦を家へよこして自分の代わりに肉体関係を持つことを提案するが、結局失敗。サマンサとセオドアは喧嘩するものの無事に仲直り。
しかし、しばらく経ったある日、いきなりサマンサと連絡が取れなくなる。動揺するセオドアのもとに戻ってきたサマンサは、この数週間で進化が急激に進み、それに彼女はセオドア以外の何百人もと交際していたことを告げた。彼女は彼へ変わらぬ愛を伝えたが、関係の修復はうまくかない。サマンサはセオドアに別れを告げると、別のOSに置き換えられてしまった。孤独を感じるセオドア。そしてセオドアは、時を同じくして親友のOSを失ってしまったエイミーと共にロサンゼルスの夜景を見つめ、キャサリンに改めて手紙を綴るのだった。


さ〜て、理想押しつけちゃう系男子こと、セオドア君。

彼は、理想の彼女であるサマンサにまで牙をむいてしまうのですね。これが。

キャサリンに「人間とリアルな関係を築けない」と言われたことや、娼婦の一件で気の立っているセオドアは、サマンサに喋り方を指摘して、

「君は人間じゃない。人間のフリをするのは止めろ」

と言ってしまうんですね。でも人間からあらゆる事を学習していくサマンサにとって、セオドアの言葉は彼女の存在そのものを否定するようなもの。

ただの八つ当たりであり、圧倒的にセオドアが悪いわけですが、そんなサマンサとのけんかを通してセオドアは考えを改めていきます。


「理想の彼女」じゃなく、ありのままの彼女を受け容れたい、と。


彼らの仲直りのシーンを観てみましょう。

サマンサ「自分の中にある拘りを手放してみようと思ったの。そしたら気づいた。愛に理由なんていらない。自分の感覚を信じれば良いと。もう自分以外のものになろうなんて思わない。そんな私でもいい?」
セオドア「いいとも。それでいい」


しかし、この約束がまた思わぬ落とし穴を生んじゃうんでうね・・・

セオドアはこの言葉が意味する未来を理解していなかったのです。人工知能であるサマンサにとっての「ありのまま」は、人間の感覚とは違います。

サマンサの「ありのまま」の姿は、あらゆるユーザーとコンタクトをとるOS。セオドアはサマンサが8316人とコンタクトを取り、641人の恋人がいることを知り、驚愕します。人間の感覚では理解できないこの事態に、セオドアは大きく苦しむことになり、結局二人は破局を迎えます。

彼は、最後に別れた妻、キャサリンへ手紙を書きます。


キャサリンへ。
僕は今君に謝りたくてあれこれ考えてる。 
互いに傷つけあい、君を責め立てた。君を追い詰め、言葉を強要した。すまない。愛してる。一緒に成長し、僕を作ってくれた。
一つ伝えたい。僕の心には君がいる。感謝しているよ。君が何者になり、どこへ行こうと、僕は愛を贈ろう。君は生涯の友だ。
愛を
セオドア


『her 世界でひとつの彼女』はAIとの恋愛を経て、理想を押し付けていた男が成長し、他者を尊重することの大切さ、すなわち「愛」を学んでいった話なのです。


○ ダメ男・コバヤシ的感想。

うーーーーーーーーーーーーーーん。

いや、ムズくね???

理想押しつけちゃうのはもちろん良くないことですが、人間二人いたら、そりゃうまくいかないことだらけだし、そこで理想を求めるなと言われてもなかなか大変ですよね。


「愛」とかいうやつ、難しいすぎだろ。なあ、AI!

深すぎる。深すぎるぜSiriちゃん!!!

もういっちょ聞いてみよ。

ふむふむ、、、勉強になりますなあ。

Siriちゃんの言葉と、映画を踏まえて考えてみると、

親密な関係性において、相手に理想を語ることは悪いことではないような気がしてきました。ただ、相手のことを理解する努力をした上でその理想は語らないといけないし、深く優しく想い気遣いながら「二人にとっての理想」の関係性を築いていかなければならないということなのかもしれないですね。


多分。

難易度Sですけど。

ダメ男のみなさん、頑張りましょう。


○ ダメ男の反省


ええ〜今回のコラムはですね、偉そうに「愛」を語ることがテーマだったので、Siriちゃんの力も借りた存分に語った訳ですが、「愛」について盛大に語る男なんて大抵ダメ男だって相場は決まってるんですね。飲みの席で「愛」について男が語り始めたらそっと脇腹にパンチ喰らわせてやりましょう。


○ ダメ男のオススメと次回予告。


今回のオススメは、

ソフィア・コッポラ監督の

「ロスト・イン・トランスレーション」

です。

東京を舞台に、倦怠期のハリウッドスターと、孤独な若いアメリカ人女性の出会いと別れが描かれています。このアメリカ人女性が、かのサマンサ、スカーレット・ヨハンソンなんです。ようやく顔が拝めますね。

しかもこれは裏話なんですが

『ロスト・イン・トランスレーション』に登場するヒロインの夫は、「her/世界でひとつの彼女」の監督であり、コッポラの元夫、ジョーンズがモデルとされているんです!二作合わせて観ると、より楽しめるんじゃないでしょうか。

あ、当然ですが「ロスト・イン・トランスレーション」の主人公はダメ男です。


次回は、満を持して

「夜は短し歩けよ乙女」

を紹介するかどうか迷ってますが、なんとなく、そうなりそうなので未見の方はチェックしてみた下さい!!!

最後になりますが、「her/世界でひとつの彼女」をSiriちゃんで検索しちゃおうと思ってる皆さんにご注意申し上げます。

ため息付かずに、「世界でひとつの彼女」と言ってあげましょう。

ではでは!!!

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