『イングマール・ベルイマンを探して』レビュー【こばん】

2018年はベルイマン監督生誕100年にあたる。 フォン＝トロッタ監督はベルイマン作品との出会いを振り返り、当時の関係者や現役監督たちにカメラを向け、証言を引き出していく。映画作りの過去と現在を結ぶ重要なドキュメンタリー。映画と演劇の双方を深く愛し、常に人間の真実に迫ろうとした巨人の足跡をドイツの名匠が辿る記録である。 フォン・トロッタ監督の思いも語られる一方で、リヴ・ウルマンなどベルイマンに近い存在に自らインタビューを行い、さらにオリヴィエ・アサイヤスやミア・ハンセン＝ラブなど第一線で活躍する現役世代の意見が紹介される。 さらに、いまやベルイマンの母国スウェーデンを代表する監督に成長したルーベン・オストルンドのコメントなど見どころは多く、巨匠のキャリアを単に総括するだけでなく、映画作りの神髄がいかに継承されているかどうかを、映画作家の目で綴るという点で極めて貴重な作品である。