『詩人』レビュー【高林】

🎥コンペティション🎥
🇨🇳『詩人』
監督▶︎リウ・ハオ
出演▷ソン・ジア、チュー・ヤーウェン、チョウ・リージン、チャン・ヤオ
【あらすじ・感想】
時代は中国の経済改革の真っ只中。鉱山労働者のリー・ウーは、詩人として注目を浴びる。リーを支える妻チェン・フイとの静かで情熱的な愛は、時代の荒波に飲み込まれてしまう。
なんて、こんな簡単に言ってしまえる作品ではないのです。
フイとリーの夫婦の愛がすごく美しく、いやらしさを感じないきれいで情熱的な愛だったのが印象的です。お互いを信頼し合い、揺るがない愛があるという自信もあり、2人の人間性も羨ましいくらいきれいなものでした。
ただ、どんなに愛し合っていて、どんなに相手にやましいことがなくても、秘密を作ると2人の間に少しずつひびが入っていくのは、どの時代に限らず想像のつきやすいことです。この小さなひびが、時代という大きな要素によって取り返しのつかないものへとなっていく。美しかった愛が幻になっていくのが、とても切なく感じました。
わたしは、歳を取り、毎日同じ席でただひたすらに工場を見つめるおじいさんが言った「人生で1つの場所と1人の人だけを覚えてればそれでいい」というセリフにとても心打たれました。彼が見つめる大切な工場も時代によって取り壊されてしまい、記憶にあるものが実在しなくなるという残酷な世の中が少しだけ嫌になりました。
すべてのもの、すべての人を愛さなくてもいいけど、ひとつだけ、1人だけ、わたしも大切で忘れたくない何かを見つけていきたいと思います。
本当に、最初から最後まで綺麗な映画です。リーとフイの夫婦は、お互いの好きがスクリーンを通して十分に伝わってきます。ちょっと子供っぽくぐずってみたり、かまってちゃんをしてみたり、、、会場では、そういった2人のちょっとした会話に笑いが起きたり、ラストシーンでは心奪われ、鼻をすする音が聞こえたりしました。
この映画を観れば、きっと大事なものは何なのか、改めて考え直せると思います。是非、映画祭期間中もう一度上映あるので、たくさんの人に観てもらいたいです。
鑑賞者 :高林


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