『それぞれの道のり』レビュー【高林】

🎥ワールド・フォーカス🎥
🇵🇭『それぞれの道のり』
監督▶︎ブリランテ・メンドーサ、ラヴ・ディアス、キドラット・タヒミック
出演▷ジョエム・バスコン、ナンディング・ジョセフ、カブニャン・デ・ギーア、バート・ギンゴナ、ドン・メルヴィン・ブーンガリン、ソリマン・クルス、フェ・ギンギン・ハイド、ヴィンス・リヨン

【あらすじ・感想】
フィリピン生誕100周年を記念して、フィリピンを代表する3人の監督によって作られたオムニバスドキュメンタリー映画。テーマは「旅」。それぞれの監督が全く違う視点、撮り方で旅を表現しています。ディアス監督は、モノクロで3人の男たちが密林での旅を、メンドーサ監督は、ミンダナオ島の農民たちが土地奪還のために首都マニラまでの抗議の旅、そしてタヒミック監督は息子の家族旅行。


わたしが1番興味深かったのは、メンドーサ監督の抗議の旅です。1400キロという凄まじい距離をひたすら歩き続けます。今までデモ隊って何しているかよくわからなかったのですが、「暴力を伴わない抗議」であったことを初めて知りました。2ヶ月以上かけ、暑さや飢えに耐えながら歩く姿は、"土地奪還"という大きな目的があるからこそ力強く、彼らの強い思いがズンと伝わってきました。

本来返還されるはずの半分にも及ばなかったが、土地返還の合意書が結ばれた時の農民たちの表情は本当に嬉しそうで、大人たちの無邪気な笑顔に感動しました。

土地というのは、今生きている人たちだけのためではなく、歴史がたくさん詰まっています。過去の人たちが守ってきた土地を今の人たちが簡単に手放してはいけないのです。たくさんの人の意志を引き継いで、これからもこの問題は続くことでしょう。

そして、なくしてはいけないものは土地だけではありません。日本では馴染みの少ないことかもしれませんが、民族もまた同じことが言えると思います。

過去から受け継がれたものをこの先もずっと残していくのは、1人ではできません。現代は次々と便利なものが現れては消えて、また現れて、人間もめまぐるしいその動きに対応していくので精一杯です。今だけにとらわれず、昔を思い返し継承するのも現代の人の大事な役割なのではないでしょうか。
鑑賞者 :高林


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