東京大学 中畑智監督『BUSHITZ』独占インタビュー

アメリカン航空共催「大学対抗ショートフィルムコンテスト」

学生応援団独占インタビュー


今年、第32回東京国際映画祭のオフィシャルパートナーであるアメリカン航空と共催で行われる『大学対抗ショートフィルムコンテスト』。

最終選考に選ばれた5作品の監督方に、同じ大学生で編成されたプロモーションチーム『学生応援団』が独占インタビューをさせて頂きました。


【第3弾】東京大学 中畑智監督

『BUSHITZ』


第3弾は、東京大学の中畑智監督と音楽制作を手がけた中尾功俊さんのお二人にインタビューしました。他の作品よりもかなりアート性やメッセージ性の強い作品です。


二人が所属するサークルは、7、8代目学生応援団の「小林直希」の出身サークルであることから、一気に距離が縮まりました。


応援団/亀井(以下、亀):今回選ばれました『BUSHITZ』という作品、印象はずっと変わらず「むずかしいな...(笑)」でした。独特な世界観に引き込まれつつも、どこか理解が追いつかないような…。どういうところから着想を得たんですか?


中畑智監督(以下、中畑):「夢の世界」を体現したい、と考えたところから作品のイメージが湧いてきました。いろんな形で寝て、いろんな夢を見る中で、人の共感を得たり、、、「夢の世界って一体なんなんだろう??」というのをテーマにした作品です。


亀:あの世界観は「夢の中」だったんですね。全編モノクロで撮影されているのは「夢」に何か関係しているのですか?


中畑:あれは、自分たちのサークルの部室で撮影しているのですが、とても雑多な場所なんです。なので単純に“色”が邪魔だな、という編集的な面の理由が一つです。あとは、僕らが見ている世界と“別のモノ”を見せたいという思いがありました。


亀:撮影している場所が部室ということもあって、カメラやポスターなどいろいろなものに興味を持ちました。まさに、あの部屋で、作品の企画や撮影をしているってことですよね。なんだか、映画のロマンが詰まった部屋のようでワクワクしました。


中畑:そうですね。実は、こばん(8代目学生応援団・小林直希)が、あの部室で同じくらいの尺の作品を撮っていたんですよ。関西学生映画祭で上映されたりしてるんですけど。


−−−これには学生応援団一同がびっくり−−−


中畑:だから部室をテーマにした作品は、2本目なんです。ストーリーとかは全然違いますけどね。(笑)


亀:すごい、全然知らなかったです。それもまた観てみたいですね。(笑)

今回の作品の中で、部室内の会話に注目していたら、あれは、台詞なのか、事実なのかわからなくなってしまったのですが、そのあたりはどうですか?


中畑:あれは全部、役者の方に「適当にくっちゃべってくれ!」とアドリブを振ったんです。でも、本当にあったことは一つもなくて。細かい構成とかは決めていなく、なんとなくの枠組みだけ伝えて、あとは役者に任せました。アドリブにしてみて、この人いつもこんなこと考えているんだなって、結構おもしろかったですね。


亀:てことは、一発撮りなんですか?


中畑:いや、2回目ですね。1回目は、もっと現実的な会話をしていたんですが、ちょっと世界観と違うなって。夢の中だから、現実とはちょっとずらして欲しかったんです。


亀:最後に向かってどんどん盛り上がっていく音楽が印象的だったんですけど、あの音楽を作られたのが、中尾さんですよね。何か監督から指示はありましたか?


中尾功俊(以下、中尾):監督からは、音楽の始まるタイミングと盛り上がりのタイミングだけ指定がありました。編集後の作品を観て、一度作ってみたんです。


中畑:その時は「チェロの音を足して」って言って作り直してもらいました。低い弦楽器の音が欲しくて。


中尾:そうだったかも!でも本当にやりとり自体は数回でしたね。監督からの細かい指示はなくて、楽器は金管以外のフルオーケストラを使って制作しました。


亀:そんなに使ってるんですか!そんな音楽にも繋がるシーンでもある、「夢の世界」に入ったところで、役者さんたちの様子が少し変わりますよね。あのシーンには何か監督の込めたメッセージがあるんですか?


中畑:あのシーンでは、イデオロギーが強めの台詞が並ぶんですが、実は一つ一つには何も関係がないんです。自分の身では絶対に抗えない“何か”に迫られていることを表現する言葉として、「戦争」「宇宙」「宗教」を選びました。夢っていうのも、自分の思い通りにはならないですしね。自分が抗えない状況っていうのは、大きいものから小さいものまである、という意図です。


亀:お話を聞いているうちにどんどん作品の謎が解けていく感じがします。(笑)

これから、世の中に公開されていく中で、どんな人・学生に観てもらいたいですか?


中畑:「自分をしっかり持った人」「自分に自信がある人」ですね。そういう人たちの内側に持っているいろんなものが存在しているという根拠はどこからきているのか、本当に確かなものなのか、という少しニヒルなメッセージが伝わって欲しいです。


亀:最後にこの作品をご覧になる方に向けて一言お願いします。


中畑:7分に満たない短い作品で、観た後は不思議な余韻が残るかもしれませんが、少しでも僕の世界観にお付き合いいただければと思います。


中尾:音楽でこの作品の世界観を表現するために、構成から細かくこだわりました。自分の作った音楽を劇場で聴いてもらえるというのがすごく嬉しいです。作品に合ったベストな音楽が作れたと思うので、是非劇場でご覧ください。


こちらのインタビューの様子は、動画からもご覧になれます‼️

以下のリンクから映画鑑賞、

チケット購入が可能です


中畑智

なかはた・さとし|1997年、名古屋生まれ。

東京大学文学部美術芸術学先週に所属。



記事執筆:高林香紀






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番外編
以下、ネタバレ前提のインタビューとなっております
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※鑑賞された方はこの先へお進みください※

東京大学 中畑智監督『BUSHITZ』ラストシーンを解き明かせ


学生応援団の中でも議題に上がった、謎。それは、「あのシーツのお化けは、なんなのだろうか。」

実際に作品を観た方にも同じ疑問を抱いた方も少なくはないのではないか。
今回、応援団独占インタビューでその謎は解き明かされた。

(インタビュー中の会話より)

亀:ネタバレになってしまうのですが、ラストシーンに出てくるお化けのようなものには、どういう意味があるのでしょうか。

中畑:あれはですね。夢から醒めるタイミングを考えた時に、夢の中で自分が意図しないところで起こされる、というのを出したくで、最後に突然登場させました。この作品はオチが作れないから、全く関係のないところから出てきた何かに強制終了してもらうしかないんです。だから、無理やり終わらせるために、無理やり終わらせるための存在を作って急に出しました。

亀:あのシーンにどんどん盛り上がる音楽が重なると、初めて観た時は「なんだなんだ?!」となったんですけど、なるほど、物語に区切りを付けるために現れたんですね。

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一見、難しそうな作品でも制作側の込められたメッセージや各シーンの演出の意図を理解すると、初めて観た時よりも何倍も作品に引き込まれていきます。お二方ともとてもお話がおもしろく、インタビューが終わる頃には、もう一度観たいと思いました。是非、劇場でどっぷりと中畑ワールドに引き込まれてください。

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