大阪芸術大学 奥井琢登監督 「DOWN ZONE」独占インタビュー
アメリカン航空共催「大学対抗ショートフィルムコンテスト」
学生応援団独占インタビュー
今年、第32回東京国際映画祭のオフィシャルパートナーであるアメリカン航空と共催で行われる『大学対抗ショートフィルムコンテスト』。
最終選考に選ばれた5作品の監督方に、同じ大学生で編成されたプロモーションチーム『学生応援団』が独占インタビューをさせて頂きました。
【第4弾】大阪芸術大学 奥井琢登監督 「DOWN ZONE」
学生応援団 山本(以下、山):合同対談で、「みんながそれぞれ好きな映画を作っていきたい」とおっしゃっていたことを踏まえ、その中でもどうして今回はホラー映画にしようと思ったきっかけは何ですか?
奥井琢登監督(以下、奥井:):単純に三回生の間にたくさんの種類、ジャンルの映画を撮っておきたいということで、そんなに深い理由があったわけじゃないんです(笑)
山:では、今回ホラー映画に挑戦するにあたって参考にした作品やよく観た作品はなにかありましたか?
奥井:それは、『エスタ―』や、『呪怨』だったり...それこそ観られるものは結構観ましたね。
山:洋画・邦画は問わずに?
奥井:そうですね。邦画のほうが気持ち悪い演出が多くてそれもちょっと参考にしつつ、洋画は洋画で、サウンドでびっくりさせるとかが上手なのでそういうのも参考にさせてもらいました。でも僕もホラーを全然作ったことがないので今回の作品は右も左もわからず作ったという感じですね。
山:サウンドについて少し出ましたが、我々も「DOWN ZONE」を鑑賞させていただいて、サウンドの面にはかなり注目が集まっていました。水の音であったり、それに対する携帯の電子音であったり...映像と合わせて、耳から恐怖感を感じたのですが、音の部分で工夫したことや大変だったことはありますか?
奥井:大変ってことはなかったんですけど…(笑)でも工夫したことっていうとメリハリっていうのがすごい大事なのかなと、この映画を作るときに思いました。静寂から一気にボルテージの上がる音だったり、さっきの水の音も一定のテンポで落ちてくる音って人間の不快感を呼ぶんじゃないかなって考えたり、いろんなことを試してみて、そういった点で工夫しました。
山:その音に関して何か参考にしたものってありますか?
奥井:やっぱり映画が参考になりました、いろんなホラーに共通している部分でメリハリっていうのがあって、やはりプロの監督が撮ったものっていつ観てもどんな映画でも勉強になります。
山:なるほど…そんな中で今回は劇中台詞が一切なく、そこにはどんな意図があったのでしょうか?もともとはあったのだけどなくしたとか?
奥井:今年何本か全部短編なんですけど撮っていて、台詞に頼ってしまうと演出が疎かになってしまう気がして...去年いろんな映画祭で他の学生さんの映画も観させてもらってもやっぱりその傾向があったように感じたんです。確かに僕も脚本を書きだすときにどうしても説明台詞になってしまいそうだったので、なので今年は実験的に極力台詞を少なくしてみせるものだけで状況説明ができるようなものを目指して作りました。
山:台詞がないからこその役者さんへの指示などはありましたか?
奥井:そうですね…それはそんなになかったかな。もともとこの「DOWN ZONE」の役者さんは仲の良い人で… あったのかな、どうなんだろう…
山:阿吽の呼吸みたいな感じで進められた?
奥井:あっ、そこまではできないんですけど(笑)でも割とフレンドリーな会話で「ここはこんなシチュエーションで」といった感じで。でも全体的にこの作品はシンプルを目指して作ったのでバックスストーリーを考えて「こういう心境だからこうして」とかの指示はやめました。純粋に「驚いて」とか「悲しんで」とかいきなり動詞で説明するというか…。
山:では、本当にシンプルにリアクションをとるような感じで。
奥井:はい。アクションだけで演出するように心がけました。内面をそこで演出してしまうとみている側に伝わらないかなと思うので。
山:劇中出てくるゾンビの特殊メイクは専門のスタッフがいてやったのですか。かなりこだわりを感じましたが。
奥井:いや、全然。僕がやりました。{あっさりと}
-学生応援団一同驚き
奥井:もともと少人数で映画を撮るタイプで、僕は音関係はできないので、清音と録音はスタッフの子を探して一緒にやったんですけど。それ以外はカメラも脚本も演出も美術もメイクも全部僕がやりましたね。
山:そのメイクってどんな感じでやるものなんですか?クオリティがすごくて…。
奥井:イメージだけで作りました。顔に塗っていい塗料を買って何層にも塗りました。純粋にグレーだけとかではなくて下地に青を塗ったりしてその上に黒塗って白塗って、ちょっと網目みたいなものを足して、ベビーパウダーをつけたりして粉っぽさを足したりしただけで、そんな凝ったものではないです。特殊メイクを勉強されている方には足元にも及ばないものです。
山:いや、暗闇から出てくるところなんかもすごくびっくりしました。ほかにもシーンの中で「水」がすごく印象的に使われていたと思うのですけど、床を水浸しにしたりとか、そんなシーンはどういったところで撮影をされたのですか?
奥井:家の近くで使ってない工場を探して許可をとってそこにセットを作らせてもらいました。簡易プール的なものをちょっと作って、そこに水を敷いて撮影したくらいですね。
山:結構大掛かりな感じですね。セットとしては。
奥井:そうですね。壁には全部黒アルミを敷いたりして暗幕みたいにして一つの空間を作りました。でも、あの場所自体は結構狭い場所で、アングルとかで広めに見せたりとかそういった工夫はしましたね。だから、全部同じ場所で撮影しました。役者さんが歩いてくる位置を変えたりカメラの配置を変えたりしただけで全部あの場所で普通の一つの小さな部屋で撮っている雰囲気でした。
山:暗闇、「DOWN ZONE」への恐怖というのは子供のころの暗闇への恐怖のような誰もが経験しているものをシンプルに表現されていると思うのですが、どんなイメージで?
奥井:一番インスピレーションを受けたのはポケモンのダイヤモンドパールの反転世界っていうのがあって....。
―同世代ということもあり応援団一同 即理解! ダークライのとこだ}
奥井:あれはいろんなところにポータルがあって、誰でもいろんなものが落ちてくる場所で、そんなイメージで物も人も水も落ちてきて下に溜まっていく、そんな世界観にしました。
―学生応援団一同納得
山:では、最後にこの映画のここを観てほしいというところを教えてください!
奥井:そうですね。何度も言っているんですが、本当にシンプルに作ったので何も考えずに純粋に楽しんでほしいです。
山:ありがとうございました。
合同インタビュー後ということもあり終始和やかな雰囲気で進んだインタビューでした。奥井監督の謙虚な人柄がすごく感じられる会話で、本当に映画を楽しく作っているような印象を受けました。観ている人を楽しませるためには自分も楽しく撮るということが大切なのかなと改めて感じました。ただ謙虚な言葉の中に作品に対して徹底的にこだわり考えたという自信を感じ取ることができました。
奥井琢登監督「DOWN ZONE」ぜひご覧ください。
こちらのインタビューの様子は、動画からもご覧になれます‼️
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奥井琢登
おくい・たくと|1999年、大阪生まれ。
大阪芸術大学映像学科の3年生。
過去作品では、初監督作品「オトギ」
ショートショートフィルムフェスティバルと
アジア2019 U-25プロジェクト部門にて入選。
記事執筆:山本英二
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