早稲田大学大学院 「舌の上の鶏卵潅餅」 ホアン・ユーリン監督
アメリカン航空共催「大学対抗ショートフィルムコンテスト」
学生応援団独占インタビュー
今年、第32回東京国際映画祭のオフィシャルパートナーであるアメリカン航空と共催で行われる『大学対抗ショートフィルムコンテスト』。
最終選考に選ばれた5作品の監督方に、同じ大学生で編成されたプロモーションチーム『学生応援団』が独占インタビューをさせて頂きました。
【第5弾】早稲田大学大学院 「舌の上の鶏卵潅餅」 ホアン・ユーリン監督
学生応援団/亀井(以下、亀):鶏卵潅餅という食べ物をテーマにしつつ社会の格差というものをズバリと描くこの作品を撮るきっかけはなんだったんでしょう?
ホアン・ユーリン:実はこの作品は二年前に中国で学位をとるときの宿題なんです。
亀:そうだったんですね。もともとドキュメンタリーというかこういった作品を撮ろうとしていたんですか?
ホアン:いや、李さん(鶏卵潅餅の店主)にインタビューしていくうちにこういう物語があるのかっていうことを知って、最後に編集するときに、あっこれは格差に関係する社会問題だということに気づいて編集しました。
亀:なるほど…では、その李さんを取り上げるきっかけは何だったのですか?
ホアン:この作品には3人の監督がいて、そのうちの一人が鶏卵潅餅の大ファンでした。このお店は男性寮の近くで、ほぼ毎日学校に買ってきて食べていたんです。そして私たちは、この学位を申し込んだばかりのころの宿題だったので、テーマを決める時も全然思いつかなくて… 偶然、鶏卵潅餅を買ってきていてそういえばと思い、李さんに説明してお願いしました。そしたらすぐにOKしてくれました。
亀:映画の中ではタイムラプスがかなり使われていたのですが、撮影にはかなり時間がかけらていたのですか?密着取材のような形で?
ホアン:いやいや、一日で撮影は終わりました。午前の二時から撮影を開始したんです。でも…… 私、寝坊してしまいまして…… 四時ごろにスタッフの友人からの電話で気が付きました!チームのリーダーとしてはすごく恥ずかしいところなんですけど…。みんな待っていてくれて、でも事前にどの様に撮るかというものは打合せしていたので、それに従って撮りたかった場面を撮りました。なので、一日で終わりました。
亀:そうなんですね。映像のクオリティがすごく高くて鶏卵潅餅がすごくおいしそうに見えて、今すぐに食べたいくらいなんですけど…(笑) 中国ではすごく有名な食べ物なんですか?
ホアン:いや、私の出身は北京じゃなくて南のほうで、大学で初めて北京に来た時にこんな食べ物があるんだ!とびっくりしました。
亀:北京に出るまで知らなかったんですか!
ホアン:こんな面白いグルメがあるとは知らなかったです。
亀:けっこうお手頃な価格で食べられるんですか?
ホアン:そうですね。北京の物価では安いですね。だいたい日本だと100円くらいですかね。
亀:どんな味がするんですか...。
ホアン:塩っぽかったり、唐辛子を足したり甘いのもあったり、自分好みにいろいろ足していく感じです。チェンピン〔お惣菜のクレープ〕のかんじですかね。
亀:その鶏卵潅餅を軸に話が社会問題へとつながっていきますが、そういったことへの原体験があったりはしたのですか?
ホアン:もともとは別のテーマがあって李さんにもインタビューしたりしていたので、こういった展開は私たちも少し予想外でした。李さんのインタビューの答えに従っていくとこういった社会問題の格差が導き出されたのでこういった作品になりました。
亀:その李さんとは撮影後なにかお話はされましたか?
ホアン:それが、悲しい話なんですけど、今年が中国の建国の70周年で首都の北京は厳しい制限がかけられてしまって、李さんのような屋台は全部いなくなってしまいました...。
亀:そうだったんですか。では、もう食べられないんですね...。
ホアン:あの辺の屋台の食べ物を食べるとすぐにおなかから変な音が聞こえることがよくあるそうなので…やはり衛生問題はあります。ですが、ライセンスのある商売人はいると思います。
亀:これからはどんな映画で社会のどういった面を伝えていきたいですか。
ホアン:中国の良い面はメディアの発信に任せて、私は現在中国で発生している問題を世界に伝えていきたいです。映画には社会を変える力があるのでそれが役割だと思います。
亀:では、それを観る方にはどんなことを思ってほしいですか?
ホアン:こういう問題があるという現状を知って、自分にもなにかできることがあるのか考えていただきたいです。
後記
事務局にいらしたときから笑顔を絶やさずとても明るい人柄のホアン監督。個別のインタビューでも撮影時のエピソードをとても楽しそうに話していただきました。そんなホアン監督が、貧富の格差、大学生と無学の商人の対比を中国の社会問題として向き合い映画にし、未来をよりよくするために行動をする勇気といったものがすごく感じられました。明るい人柄と勇気に我々も魅了されました。
世界と中国をつなぐドキュメンタリーを作る
ホアン監督の「舌の上の鶏卵潅餅」ぜひ御覧ください。
こちらのインタビューの様子は、動画からもご覧になれます‼️
以下のリンクから映画鑑賞、
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黄钰琳
ホアン・ユーリン|1997年、中国武漢生まれ。
早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース所属。
記事執筆:山本英二
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