アメリカン航空共催 「大学対抗ショートフィルムコンテスト」関東3チーム 合同対談
アメリカン航空共催
「大学対抗ショートフィルムコンテスト」
学生応援団独占インタビュー
東京国際映画祭のオフィシャルパートナーであるアメリカン航空さん共催で行われる「大学生対抗ショートフィルムコンテスト」。今回は、最終選考に選ばれた5作品の監督に学生応援団が独占インタビューしてきました。
【第6弾】関東チーム
中畑智監督・中尾功峻さん『BUSHITZ』
&田中佑佳監督『シュウカツ』
&フアン・ユーリン監督・シュウ・サンティさん『舌の上鶏卵灌餅』
合同対談
この対談のテーマは、東京国際映画祭が毎年テーマに掲げているビジョンの一つ、「映画の未来の開拓」。若いクリエイターの育成、未来のクリエイターの創出に取り組み、世界へ羽ばたいていくプラットフォームとしての役割を果たす、という意味合いをもっています。このビジョンにちなみ、映画と未来を主題とした3つのテーマを熱く話し合いました。
学生応援団大竹(以下、竹):では、皆さん初顔合わせということで、まず簡単な自己紹介からお願い致します。
中畑智監督(以下、中畑)(写真:1番右):席順的にぼくからですね(笑) 東京大学の中畑と申します。『BUSHITZ』という作品を監督しました。「夢」をテーマにした作品になっています。よろしくお願い致します。
中尾功俊さん(以下、中尾)(写真:右から2):同じ作品の音楽を担当しました。中尾功俊です。監督ではないです(笑)
田中佑佳監督(以下、田中)(写真:真ん中):桜美林大学、『シュウカツ』を監督しました。田中佑佳です。『死』をテーマにした作品です。よろしくお願いします。
ホァン・ユーリン監督(以下、ホァン)(写真:左から2):早稲田大学、『舌の上鶏卵灌餅』のホァンです。この映画のテーマは『食』です。よろしくお願いします。
シュウ・サンティ(以下、シュウ)(写真:1番左):ホァンの付き添いで参りました。友人のシュウです。
竹:では、早速質問に参りたいと思います。一つ目が「あなたと映画」の未来についてです。映画との携わり方に対して様々な選択肢がある中で、今回は制作者として映画に携わられたと思いますが、これからはどのように映画と関わっていきたいと思いますか?
ホァン:うーん…。実は、私は今所属している大学院の卒業テーマが二つあるのですが、一つが作品系の制作、もう一つが論文系です。今回のこの映画祭の経験をきっかけに、私は作品系で卒業をしたいと思っています。ジャーナリズムを専攻していることもあり、“実際に発生した社会問題に注目”して作品を今後も作っていきたいです。
田中:私も制作者なのかな。制作者で在り続けたいです。目標としては、役者・監督・脚本とマルチに活動できるようになりたいと思っています。個人的に撮りたいジャンルはホラー。
竹:今回はまたホラーとは違ったジャンルですが、どんなホラーを撮ってみたいですか?
田中:色々構想はあるんですが、私はドラマ版の『ハンニバル』がとても好きで…そんな脚本も、ホラーとしての質も、どちらも評価してもらえるような作品を目指したいです。
中畑:僕は大学での専攻が美学芸術で、映像人類学、そして写真に興味があります。今大学3年生でこれから就職活動をしなければなりませんが、きっとホァンさんと同じでドキュメンタリーを扱うことになると思います。目の前にあることを形にしていきたいです。
竹:映像には特別拘らず?
中畑:はい、カメラを持てればそれでいいと思っています。
中尾:僕は音楽がすごい好き。でも、今自分の大学では制作についてではなく学問がメイン。そこで、来年一年間留学をしようと思っていてミュージックプロダクション・制作者側の勉強をしたいと考えています。そのあと、その経験から自分なりに「映画音楽」も含めて関わっていけたらと思っています。
竹:では、続きまして二つ目の議題が、「映画業界」の未来です。10年後、私たち学生も社会人となり前線で活躍できる時期になってくると思います。今はアニメ映画や音楽映画、応援上映が流行しているように感じますが、10年後の未来では期待も含めてどういった映画が流行していると思いますか?
田中:スターウォーズは完結してほしい…(笑)
中畑:確かに、今やっているシリーズものがどれだけ終わっているかは気になりますね。
中尾:キャストの方も亡くなったりだとか、不祥事だとか、色々問題もありそう。
中畑:コンテンツが終わらない限り続いていくだろうね。MCUがどうなってるんだろか...
ホァン:私はドキュメンタリーをブームにしたいです!日本のマーケットについては詳しくありませんが、去年ぐらいに中国でも上映されたマーベルのキャプテン・アメリカ3…?
監督一同:シビル・ウォー!
学生応援団一同:監督方、即答で流石です(笑)
ホァン:すみません(笑) 同時期に、大好きなドキュメンタリー映画が上映されていたのですが、当然10倍以上の差がついてしまっていました。確かにマーベル系も素晴らしいですが、違った映画の素晴らしさも伝えたいと思います。
シュウ・サンティ:そうですね。興行収入が○○元で…
竹:なんで覚えていらっしゃるのですか…!
ホァン:彼女はこの映画の大ファンなんです(笑)
竹:なるほど(笑)ドキュメンタリーはマーベルのようなアクションと比べると当たり前に難しいジャンルですが、どうすればもっとドキュメンタリーを観ようと思う人が増えるんでしょうか。
ホァン:そうですね…。テーマの明確化ですかね。受け手が受け取りやすく明確化することが大切だと思います。後は、人気の俳優さんや役者さんをインディペンデント系でも起用することで、それをきっかけに観に来てくれる人がいてもいいと思います。
中畑:ドキュメンタリーというとやっぱり世相を映すもの。テーマの選び方ってその時々で変わってくる。ファンさんが取り上げた今回のような小さなところに視点を当てた作品から、日本でずっといろんな監督が主題にしている東日本大震災だったり、今年TIFFでもやる『れいわ一揆』のような大きいなテーマ、沢山あると思います。そういった中で、小さいドキュメンタリーが生きていくためには、大きいドキュメンタリーが受け入れられる必要があると思う。フィクションを求めている現代からノンフィクションを求めるような時代にならないといけないのでは。
田中:NETFLIXのように一話完結型の短いドキュメンタリーなんかだと見やすいと思います。もっといろんな人の目に作品が触れられる機会が増えればいいなと。
竹:ちなみに、今年のTIFFでの注目作品はあったりしますか?
中畑:「ジャパニーズ・アニメーション」特集は熱いですね。AKIRAとか。
田中:あと「シン・ファンタ」も。行きたかったけど取れなかった…(笑)
ホァン:私は「コンペティション」部門の『チャクトゥとサルラ』を昨日チケット購入しました。あと寅さんも観たかった!チケットすぐ売り切れた!(笑)
中畑:去年のオープニング作品『アリー/スター誕生』は中尾と二人で観に行きました。僕、レディー・ガガの大ファンなので(笑)
(中畑監督が着ていたTシャツにレディー・ガガのイラスト)
一同:本当だ!(笑)
タケ:それでは最後の議題です。「学生と映画」の未来です。これは映画祭の課題でもあります。より多くの学生が映画と親しみをもつためには、どのようにしたら良いと考えますか?
田中:やはり映画好きが発信していくべきです。一緒に連れて行く、口コミ、SNS何でも我々がまずは発信していくべきかなと。
中畑:大ヒットした『カメラを止めるな!』は公開前に「東京学生映画祭」でやっていて、流行る前から口コミ凄かった。学生だからこそ映画に触れ合える場を増やしていくべきだと思います。
ホァン:私は、二人と違って日本の市場には詳しくないですが、学生ファンの多いアイドルや俳優を起用していくことで、映画に対する関心は増えると思います。小説や漫画の実写化も一つのアイデアかと。
中畑:それで言うと、今の日本の映画も似たようなことが起きてますよね。「菅田将暉さん」だとか、役者がアイドル化している感じが。若い人が映画を観る機会を作るのにはそれも一つ有用なツールになっていますよね。
田中:きっかけにはなりますよね。あとは作品のクオリティ。出演者と原作とできあがり、全部がそろっていないとだめですよね。
竹:我々学生応援団も映画祭に携わる者としては、やはり「映画館」で映画を観る魅力というものも届けていきたいと考えているのですが、皆様の考える映画館の魅力とは?
中尾:音響は当然違います。音楽映画が流行っていると思いますが、スマホで映画を観られる現代で、映画館で映画を観るという体験の意義を作っていると思います。IMAXとか。そういった体験という面では、映画館は負けないですよね。音楽業界でも、CDが売れなくなっているけど、ライブに行く人たちは増えている。「モノからコト消費」なんて言われていますよね。あとから思い返した時に大きな感動なっているのは、当然映画館です。
田中:手軽に観られるのもいいけど、やっぱり集中力がスマホだと続かない。この一本にどっぷり浸かれるのは映画館だけかと。
ホァン:中国は日本と違って悪い面があります。携帯が鳴ってしまったり、後ろから蹴られたり…日本の映画館はクオリティが高いです。家で映画を観ていると色んなことに意識がいってしまう。やっぱり映画館でなら集中が出来ますよね。
竹:お時間も迫って参りましたので、最後に映画祭に来る方にも、行くか迷っている人にもメッセージをお願いします。
中尾:これは初めての企画ですよね。すごく面白いと思います、僕も楽しみなので、どうぞ来てください。
中畑:この企画も含め、ここでしか観られない作品がたくさんあると思います。是非ご来場ください。
田中:一気に五作観られるのはなかなかないと思います。是非いらしてください。
ホァン:今までの映画祭とはまた違います!お待ちしております。
シュウ:素晴らしい映画祭です来てください!
気さくな監督方のおかげもあり、笑いの飛び交う対談でありましたが、随所に熱い制作者としての「映画愛」を感じた対談でした。スケジュールの調整や遠方ということもあり、残りの関西の2チームはご一緒することはできなかったものの、初めての試みとなった本企画で、これからの映画業界を盛り上げようと同じ決意をもった学生同士で集まることが出来たのは大変貴重で有意義なものとなりました。11/4に上映される「大学対抗ショートフィルムコンテスト」。是非このインタビュー同様に、作品から熱い「映画愛」を受け取ってほしいと思います。
最後に学生応援団も一緒にパシャリ!!
合同対談の様子は、こちらから見られます!
『BUSHITZ』&『シュウカツ』&『舌の上鶏卵灌餅』
は、現在映画祭HPで配信中です!期間限定にて、10/27(日)までとなっております。
11/4(月)のチケットもここから購入いただけます!
記事:大竹健太
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