『氷の季節』レビュー【たけ】

美味しい話しに飛びついて、

気付けば全てを失っていた。


🎥コンペティション🎥
🇩🇰『氷の季節』
監督▶︎マイケル・ノアー
出演▷イェスパー・クリステンセン、マウヌス・クレッパー、グスタウ・ドゥケアー・ギーゼ、エリオット・クロセット・ホーヴェ、ギタ・ネアビ、クラーラ・ロスエアー、ベアティル・デ・ロレンツィ

19世紀半ばのデンマークの田舎に暮らす、ある農家の物語です。美しくも厳しい自然環境の中、さらに過酷な冬を迎えるにあたり、農民イェンスは耐え難い選択を迫られる。一家が冬を越すためには、近所の裕福な農民との取引に応じるしかない。それは、家族のより良い暮らしと引き換えに、彼自身のモラルと最も大切な存在を犠牲にすることを意味していました…。

デンマークの古い農村地帯の美しくもどこか寂しげな風景において、人間の愛と罰が折り重なったような作品です。
上映後のトークセッションで、監督がとても明るく面白い方でしたが、本人が仰っていたように「正反対のダークな世界に引きずり込む強い力を持っている映画」を作り出していました。また、監督曰くこの映画は、娘に宛てた未来へのラブレターとのこと。

古くから続く地主として、土地や牛、家を守ってきたが故のプライド、家族、隣人を天秤にかけざるをえなくなっている。そして、最良の選択をし、なんの不自由も無い生活ができるはずなのに、運命とも思える出来事に弄ばれていきます。

生きていくための選択として、時に何かを切り捨て、何かを得なければならない時があると思います。それが本当に正しいのか、間違っているのかは自身の人生が終わった時にしかわからない。
そして、この映画のテーマは「親子愛」。親は子のために自分の人生の一部、あるいは全部を犠牲にしてでも守っていく生き物であると思います。自分もそのような親になりたい、また、自分の親に改めて感謝をしたい気持ちになれます。ラストシーンに是非とも感情を揺さぶられて下さい。

鑑賞者 : たけ

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